*HAPPY EVERY DAY*

この花をみるたびにおもいだすのは
平成5年3月28日に他界した母方の祖父。


”その日”は突然にやってきました。

弟は高校を卒業し私は短大を卒業。
二人とも卒業式を終えたものの
弟は浪人のため予備校へ
私は就職浪人をする傍ら
アルバイトをすることに。

それぞれ新しい日々へあと数日。。というとき。

両親が友人達との旅行で県外へでかけていて
一階に住む父方の祖父母の食事を私と弟で担当していたとき、
両親は今夜帰ってくるという日のお昼ころ
自宅の電話がなりました。

母方の祖母からでした。

「お母さんいるね～？」
「旅行にいってて今夜かえってくるんだけど。。？」
「。。。旅行ね～。。。どうしよう。。。」
「ばあちゃん、どうしたの？」
「。。。。いまね、市立病院にいるんだけどね。
じいちゃんがさ、救急車で運ばれてさ。。。
心臓がとまってるって・・・」
「。。はっ？！！」

祖母がポツポツと淡々と
まるで現実のことではない遠いことのように話すので
事の重大さがのみこめないでいる私を尻目に
祖母の電話は

「いないならいいさ～。じゃあね～。」

と切れてしまいました。


弟に。これから予備校の試験に向かおうとしている弟に

「ばあちゃんからこんな電話だけど。。
どうしよう。。？？」

20歳になったばかりの私と18歳の弟。
当時、携帯電話は普及しておらず
両親と連絡がとれないまま二人で考えて。

心配させてはいけないから
下にいる父方の祖父母には今はいわないでおこう。
とりあえず二人で市立病院へむかおう。
両親は連絡がつかないけど
父の友人へ連絡を取り帰りの便名をきき
夕方空港へ迎えにいこう。

ということで急いで市立病院へ。
病院に着くと
待合室でポツンと一人
ボーっとすわる祖母の姿がありました。
祖父は。
数日前まであんなに元気だった祖父は。
何度も心臓マッサージを施され
息はふきかえしたものの
意識が戻らない状況でした。

祖母に、
「連絡しなきゃいけない人は？
電話番号はわかる？」
ときくと
「あー・・・。玄関の電話の前に張ってあるよ・・」

弟のバイクに二人で乗り急いでそれをとりにいき
病院からいろんな人に電話をかけました。

どう話したのかはもう覚えていません。
どんどん日が暮れていくにしたがって
親戚が集まってきました。

じいちゃんの回復を願って
私もかなりそわそわうろうろしていた気がします。


そのうち、夜になり
最終便で帰ってくる両親の便の時間が近づいたので
弟と共に空港へとむかいました。

途中。ぼーっとするあまり道を間違えたりしながら
なんとか空港へ到着。
到着ロビーにでてきた両親は
予想しない娘と息子の出迎えに
満面の笑みで近づいてきました。

言葉につまって説明のできない私にかわり
弟が現在の状況を両親に話しました。

とたん、母の顔がこわばり父があわてふためき
ドタバタと空港を後にしました。

泣きながら運転する私に弟が
「泣くな！！じいちゃんはまだがんばってるのに！！」


このときほど弟を頼もしく感じたことはないかもしれません。


祖父は、まるで母や父の帰りをまっていたかのように
両親が病院に到着してから30分もまたずに
両親やその他の県内にいる子供達に見守られながら
息を引き取りました。


平成5年3月２８日。
夜中の0時をまわったころでした。


警察官だった祖父は
頑固で生真面目で融通のきかないド真面目なせいかく。
現役警察官のころはとても厳しかったようですが
私の知る祖父はもうすでに退職をしたあとの祖父。
いつもやさしくて世話好きで
あそびにいくと帰りたくなくてわざと寝たふりをして
両親が帰った後に目をあけるということを何度もしていました＾＾

そのたびに
「やっぱりおきてたか～」
と笑いながら
「じいちゃんとねような～」
といってくれた祖父の顔は決して忘れることができません。

夜中のトイレ、
お風呂のあとのお着替え。
祖母ではなく祖父がお世話をしてくれました。





イッペーと呼ばれるきれいな黄色の花。
3月になるとあちこちで満開している様子がみられます。


祖父の遺体が運ばれてきたその日。
祖父宅の庭では
イッペーの花が咲き乱れていました。




毎年。
この時期にこの花をみると
やさしくて頑固だった祖父を思い出します。


あれから16年。
警察官として働く弟は
祖父のお仏壇に手をあわせるたびに
「いま、じいちゃんと話したいな～～。。。」
といいます。

じいちゃん。
また会いたいね。